逸失利益の計算 自賠責保険支払い基準 2015.11.27
後遺障害の損害に逸失利益という損害があります。
逸失利益とは「後遺障害が無ければ将来にわたって得られたであろう利益」です。
休業損害と逸失利益は症状固定日をもって区分され、症状固定日以降の就労制限に基づく所得喪失が後遺障害逸失利益として把握されます。
逸失利益の算定は労働能力の低下の程度、収入の変化、将来の昇進・転職・失業等の不利益の可能性、日常生活上の不便等を考慮して行れます。
計算方法は、
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間(労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数)
となっております。
自賠責保険の支払い基準では、有職者であれば、事故前1年間の収入額と後遺障害確定時の年齢に対応する年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額を収入額を基礎収入とし、幼児、自動、生徒、学生、家事従事者などは全年齢平均給与額の年相当額を基礎収入とします。
労働能力喪失率は等級ごとに定められています。
一番重度の後遺障害である1級で100%、軽度の後遺障害である14級で5%という風に定められています。
労働能力喪失期間は、始期は症状固定日、終期は原則として67歳となります。
症状固定日の時点で55歳以上であれば平均余命年数の2分の1とします。
中間利息控除は、ライプニッツ式を用い、就労可能年数に応じたライプニッツ係数を使用して計算します。
例)35歳 事故前の年収600万円 14級
600万円×5%×32年(15.803)=4,740,900円
自賠責の支払い基準では逸失利益は4,740,900円となります。
しかし、自賠責保険には支払限度額が規定されています。(自賠法施行令第2条並びに別表第2)
14級は75万円です。
よって実際に自賠責保険から支払われる保険金は75万円となります。
この金額は自賠責保険の基準による算定です。
損害賠償となればこの基準に縛られることはなく逸失利益を計算し請求することができます。
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