交通事故コラム

「後遺症」と「後遺障害」 2015.11.20

「後遺症」とは、災害や交通事故などによって負った傷害が完全に回復せず、身体や精神の機能に残った不完全な状態をさします。一般論です。

「後遺障害」とは損害賠償の分野において「後遺症」を呼ぶ際に用いられる用語です。

交通事故においては、自賠法により定められた保険制度である自賠責保険の支払い手続きにおいて規定されています。
自賠責保険では労災補償制度と同様の内容の身体・精神機能の障害が残存した場合に、保険金支払いの対象とし、かつ、障害の程度(等級)ごとに異なる金額が定められている保険金支払限度額が決定される制度になっています。

たまに、「後遺症ではなく後遺障害でなければ適切な賠償を受けられない」という解説を目にすることがありますが、それは正確ではありません。
交通事故により、何らかの不調が残り、そのため稼働による収入獲得が思うようにできず、生活上もいろいろと支障がでるというのであれば、どういう名称を付けようと損害として評価されます。

例えば、自賠責保険では3センチ以上の線状痕が外貌(顔面部)に残っていれば12級が認定されます。2.9センチでは認定されません。
この場合後遺障害は存在しないのかと言えばそうではありません。
相手方に事故の後遺症として損害を請求し、相手が認めなければ裁判所へ提訴して、裁判所が損害として認めれば、後遺障害として程度に応じた賠償を受けられます。

ただ、上記のように目に見える障害であればそれほど問題は無いのですが、痛みや可動域制限など目に見えない障害であれば、裁判所は自賠責での判断を重視します。
まず自賠責への申請をしてからというながれになるそうです。

自賠責で後遺障害が認定されなくても、裁判所で認められる可能性はありますので諦めないでください。

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