なぜ自賠責の「後遺障害」が重要なのか 2015.11.06
「後遺障害」とは労災保険・自賠責保険における保険金支払いのために「後遺症」を格付けしたものです。
「後遺症」とは、回復しない身体・精神機能の不調です。
交通事故のような被害者・加害者が存在するケースではこれによって発生する不利益状態を金銭賠償で処理することとなります。
その際、「どのような経済的損失が発生するのか」、「生活上どのような不利益が発生するのか」の判断は、本来は、自賠責保険制度からの影響を受けるはずはなく、「後遺障害」の規定にとらわれることなく、あくまでも妥当な損害算定を目指せばすむはずのものです。
しかしながら、人身損害の評価は容易ではなく、どのような障害があればどの程度の損害が発生するかなど、そもそも認定可能なのかという根本的な疑問があります。
そこで、自賠責保険制度の「後遺障害」の規定に当てはめをして、その結果得られた「後遺障害」の格付けに従って障害の程度評価を行い、それを損害算定に反映させるという手法が採用されるようになりました。
裁判上の手続きにおいても、後遺症の認定は、個別具体に評価が行われることはありますが、自賠責の判断は尊重され、異なる認定がされることはそれほどありません。
自賠責保険の認定を受けずに、いきなり裁判所に後遺症を訴えても、まずは自賠責の認定を受けなさいといわれるそうです。
つまり、上自賠責保険の後遺障害等級認定はとても重要な位置付けであるといえるでしょう。
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