むち打ち損傷の治療 2015.03.19
むち打ち損傷の治療は、一般的には、主として整形外科でなされています。
むち打ち損傷の治療は「急性期」、「亜急性期」、「慢性期」に分けられ、治療方針を立てます。
・急性期
急性期は受傷直後より1カ月内の損傷組織の治癒が見込まれるまでの時期と解されています。
むち打ち損傷はこの急性期に適切な治療がなされたか否かによって予後を大きく左右するもので、初期の合理的治療が最も重要と言われています。
急性期の治療は安静・固定が第一であると言われています。
初期治療において牽引することは、靭帯、椎間板などの軟部組織の損傷部を引き離すことになるので禁忌であるといわれ、特に頚椎捻挫の診断がつけば牽引の必要性は全くないといわれています。
包帯やカラーなど、頚椎固定の期間は二週間から六週間ぐらいと考えられています。
・亜急性期
亜急性期は受傷後二~三カ月、長くて六カ月といわれています。
治療内容は急性期に適切な治療がなされても、なお症状が残るものについては、牽引や物理療法、運動療法が主となります。
牽引は硬くなったり、こわばって短縮している組織を物理的に引き伸ばし、頚椎に対する縦方向の圧迫を軽減するものです。物理療法はホットパック、マイクロウェーブ、赤外線等を利用し、血液循環を促進させ、あるいは熱の作用そのものによって筋肉を含む軟部組織を柔らかくするものです。
亜急性期においては重症を除き、休業の必要はなく、積極的に社会復帰を図る時期であるといえます。
・慢性期
亜急性期以降が慢性期とされます。受傷後二~三カ月以後が慢性期にあたります。
むち打ち損傷は急性期に適切な治療がなされればほとんど数週間、遅くとも亜急性期には治癒するはずのものと言われています。
むち打ち損傷が慢性化する理由としては四肢に明確な神経症状があり、頸髄、神経根、神経節などの関与する場合や、不適切な治療が介在する場合、その他の合併症が併発した場合、心因性などが挙げられます。
慢性期になっても症状が治まらない場合は椎間板造影や脊髄造影などでヘルニア等を起こしていないか、精密検査してみた方がいいでしょう。
根症状や神経症状が有る場合には後遺障害の対象となる可能性があります。
症状を他覚的に証明という意味合いも兼ね、専門医の診察を受けましょう。
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