自賠責における他覚的所見 2015.01.24
末梢神経障害の後遺障害等級は
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 局部に神経症状を残すもの
の2つに分類されます。(カウザルギー、RSDなどを除く)
2つを分ける要素として労災・自賠責の認定基準では、12級は「通常労務に服することはでき、職種制限も認められないが、時には労務に支障が生じる場合があるもの」で、14級は12級よりも軽度のものが該当するとなっております。
とても抽象的です。
自賠責保険実務では、12級は「障害の存在が医学的に証明できるもの」で、14級の場合は「障害の存在が医学的に説明可能なもの」という考え方が採用されています。(交通事故損害額算定基準 青本22訂版 P314より)
「医学的に証明できる」とは、他覚的所見が存在することを意味します。
自賠責保険では、他覚的所見とは神経系統の不具合が確認できる所見という認識です。
具体的にいえばX線、CT、MRI、脳血管撮影などの画像診断のほか、神経学的検査の結果も他覚的所見といわれています。
14級においては他覚的に確認できないまでも、症状が発生してもおかしくない状態が確認できれば14級に該当するといわれております。
これらのことから末梢神経障害において後遺障害の申請を行うに当たり、他覚的所見の有無を調べる必要があることが大前提であると言えるでしょう。
むちうちで腕や足にしびれが半年以上続いて発生していて、後遺障害の申請をしてみたが非該当だったという方の治療状況を確認してみたら事故直後に撮影したレントゲン画像を添付しただけの申請だったということもあります。
後遺障害の申請においては保険会社の担当者や通院先の医師にすべて任せっきりではなく、どのような検査所見がどういう具合に揃っているか、他覚的に証明または説明できているのかということを把握した上で申請しなければ適正な等級認定が受けられないというケースに陥ることがでてきてしまいます。
≫ 一覧へ戻る