医師との接し方 2014.12.25
交通事故の適正な賠償、正当な後遺障害等級認定を受けるためには医師の協力が必要不可欠です。
医師との信頼関係がこじれてしまえば、先行きはかなり困難に見舞われるでしょう。
基本的に医師は患者を治すために頑張ってくれます。
治らない方がいい、治っても治らなくてもどっちでもいいとは思っている医師はほぼいないと思います。
また、交通事故の患者であれば円満に解決して、尚且つ、きちんと補償を受けられるといいなと考えていることが多いようです。
そのように接していた医師がいつからか非協力的になってしまうケースがあります。
その原因のひとつに、我々交通事故を扱う行政書士等の専門家が介入することがあげられます。
我々の仕事は交通事故被害者が適正な補償・賠償を受けられるためのお手伝いであり、その保障や賠償を受けるために最も重要である医師と患者の良好な関係を我々がきっかけで壊してしまうというのは、絶対に避けなければなりません。
私がまだ交通事故業務に関して駆け出しだったころ(今でもまだまだ未熟ですが・・・)
依頼人の後遺障害申請に必要な書類を取り付けるにあたり、被害者の症状について医学書等を読み込み医学的知識を頭に詰め込みました。
面談や照会文書で医師に「こんなことも知らないのか」と呆れられない(ナメられない)ようにです。
医学用語や医師の間で使われる専門用語を並べ、医療照会文書を作りました。
結果的にこれは失敗でした。
医学的知識を我々行政書士が勉強するのは不要だという意味ではありません。
むしろ絶対に必要です。
これをひけらかしてしまうような態度をとったのが失敗だったという意味です。
医師の立場からすれば、ただでさえ行政書士というよくわらからない職種の人間に医療従事者の間で使われるような専門用語を並べ立てて話をされても
「よく知ってるな!この人間は信用できる!」
とはならないものです。
逆に、
「生意気だな。こんな人間を連れてくるこの患者に積極的に協力するのはいやだ!」
と思ってしまうと思います。
逆の立場に立って、自分がプロとしてやっている領域に素人がどこかで聞きかじったような知識を語られ、認識が浅かったり用語の使い方が間違っていたりしたら…
いい印象は持ちませんよね。
実際に依頼者経由で照会文書を医師に渡してもらった際に手紙を読んだ医師が「聞きたいことはわかるが・・・生意気だな。」とつぶやかれ、不機嫌になったと依頼者に聞かされたことがありました。
結果的に直接お話しをさせていただき、照会文書の趣旨を理解してもらうことができ、希望していた内容の医証をとりつけることができたのでよかったですが、もしそのまま話も聞いてくれず欲しい医証がとれなかったら・・・と考えるとぞっとします。
中には医師をねじ伏せるくらい知識を詰め込み、理論武装して医師と立ち向かわなければいけないという考えの持ち主もいますが、私なりに考えた理想的な医師との接し方は、あくまでアマチュアの立場を崩さず「素人ですから医学・医療のことはわかりませんが、このような書物(医学書)からある程度のことはわかっているつもりです。もし、失礼があったらすみません。」というように接するようにしています。
そのように依頼人の利益を第一に考えて行動することで成果はついてきました。
勉強をすることはとても重要であるとは思いますが、その知識の使い方を間違えると結果は付いてこないと私は思うのです。
勉強家であること=仕事ができる
とは違うと考えています。
≫ 一覧へ戻る