連載 第6話「保険会社の判断」 2014.06.19
数時間後、損保会社から折り返し電話がかかってきた。
電話に出てみると、これまで対応してくれた女性の磯野さんではなく落ち着いた男性からだった。
「大変お世話になっております。私はこれまで対応させていただいた磯野の上司でフグ田と申します。
人身傷害保険のご使用でのお問い合わせの件を磯野から伺いました。
この度の事故で保険を使用できないと申し上げましたが、お客様のおっしゃるとおりお伺いしているお話だけで人身傷害保険がご使用いただけないとは断定できないものでした。
大変申し訳ございませんでした。」
「そうですか。それでは保険を使うことができるんですか?」
「その点についてなのですが、もう少し詳しく事故時の状況をお伺いしてもよろしいですか?」
「ええ。もちろん。」
そして、以前話した内容よりも詳細に事故の状況を話した。
「ありがとうございます。事故の全容がわかりました。
しかし、お恥ずかしい話、お話をお伺いしてさらに判断が難しくなってしまいました。
直接事故現場を見ながらご説明をしていただくことは可能でしょうか?」
「仕事の都合にもよりますが大丈夫ですよ。」
そして、それから数日後に事故現場である自宅マンション駐車場に来ることになった。
当日は2人の中年男性が訪問してきた。
「大変お世話になっております。サザエ保険会社のフグ田です。
本日はお忙しい中お時間をとっていただき誠にありがとうございます。
こちらはタマ調査会社の花沢と申します。」
「花沢と申します。よろしくお願いします。」
「今回の事故状況の調査をするために連れてまいりましたがよろしいでしょうか。」
「もちろんかまいませんよ。」
そして、事故時の状況を身振り手振りで説明した。
ぶつかった車も駐車してあったので話はスムーズにすすんだ。
調査会社の人間は横で写真を撮りながら話を聞いていた。
そして、30分前後で状況説明は終わった。
「ありがとうございました。
今日の調査をもとに報告書を作成して、保険の適用対応であるかを検討し、またご連絡さしあげます。」
「よろしくおねがいします」
こうして事故調査は終了した。
翌日、保険会社のフグ田さんから電話がかかってきた。
「大変申し訳ございませんが、弊社では今回の件について判断が困難なため、外部の機関に判断をしてもらうことになりました」
つづく
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