交通事故コラム

連連載 第4話「運行の解釈」 2014.05.31

私はカバンから1冊の本を取り出しパラパラとめくった。

「ここを見てみて。」

『保険金が支払われる場合』

以下のいずれかに該当する急激かつ偶然な外来の事故によって、被保険者が傷害を被った場合に損害額を補償する。
1.自動車または原動機付自転車の運行に起因する事故
2.自動車または原動機付自転車に搭乗中の飛来中もしくは落下中の他物との衝突、火災または爆発自動車または原動機付自転車の落下事故

と書かれているページを指差した。

「この(運行に起因する事故)っていうのが保険会社の担当者が話したことなんだけど…」

「じゃあやっぱり停まっていたところにぶつかった今回のケースでは使えないってことじゃないか。」

「まぁまぁ。
この「運行」と「起因する」というところの解釈に争いが生まれることがあるんだ。

まず「運行」についてだ。

「運行」とは人を乗せたり物を運ぶといった車の走行などはもちろん、自動車を本来の使い方に従って使った時のことを言うんだ。
例えば、車のドアの開け閉めだったりクレーン車のクレーンを動かしているときなど、走行には関係しないけれど、自動車についている装置を動かすことだね。
今回のケースはそのどれにも当てはまらないから「運行」中の事故ではないと保険会社の担当は言ってきたんだろう。」

「そうだな」

「でも、『車庫から出て車庫に戻るまでの途中の駐車や停車の場合も含まれるとする』と言う説もある。
違法駐車していた車に追突してケガをしたり死亡したという事故で、違法駐車していたこと自体を『運行』と認めた判例もいくつかあるんだ。※」
※神戸地裁判決平成16年3月17日、東京地裁判決平成8年9月19日

つづく

≫ 一覧へ戻る

メール相談お気軽に
メールフォームへ
トップへ戻る