交通事故コラム

連載 第2話「自動車保険」 2014.05.15

コウくんの両親は、車を停めていた住人に治療費などを請求する気は全くなかった。
停車している車にこちらからぶつかってけがをして、請求できる権利があるとも思っていない。
当然、相手に自動車保険を使ってもらうということも考えていない。

では「自動車保険を使えないものか?」とはどういう意味なんだろう。

自分の車にかけている自動車保険である。
具体的にいえば人身傷害保険のことだ。

人身傷害保険とは自分の過失に関係なく治療費や休業損害、精神的損害等、実際に出た損害をてん補してもらうことができる保険である。
コウくんの父親は契約車両搭乗中の事故以外、つまり歩行中や自転車に乗っているときの事故でも相手が車である、「自動車事故」であれば使用できると聞いたことがあった。

そこで、父親は加入している保険会社の事故受付ダイヤルに電話してみた。

何よりもまずコウくんのケガを配慮してくれた担当者の対応に彼は、安心感をおぼえた。
その後、担当者の質問に回答するかたちで事故状況を説明し、「人身傷害保険が使用できますか?」と尋ねる。
すると、「大変申し訳ございませんが、こちらは事故受付専門ダイヤルですので保険の適用などについてはお答えできません。明日、営業時間内に担当者からお電話をさせます。」
とのことだった。

翌日。

担当者から電話があり、事故状況の再確認をした。
再度、人身傷害が使えるのかどうかを聞いてみると、担当者は申し訳なさそうにこう答えた。

「今回の事故では人身傷害保険は使用できません。」

つづく

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