医師の後遺障害審査? 2016.01.21
交通事故でけがを負い、治療を続けていても最終的に事故前の状態と同じくらいまで治らない事があります。
これを後遺症といいます。
後遺症が残れば相手方(保険会社など)に、後遺症の程度に応じて、その損害を賠償してもらうことになるのですが、後遺障害の認定を受けなければなりません。
後遺障害は損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)という機関が保険会社からの依頼に応じて調査をし、妥当な等級を保険会社へ通知します。
自賠責調査事務所からの調査結果と等級の通知を受けた保険会社が後遺障害の等級を決定します。
自賠責調査事務所の結果に法的な拘束力はないのですが、実務上、保険会社はその結果と同じ等級を決定するので、実質、後遺障害の審査は自賠責損害調査事務所が行っていると言えます。
自賠責の後遺障害は基準に沿って等級が認定されます。
例えば、肩の動きが制限された場合には程度に応じて、ケガをしていない方と比べて2分の一以下に制限されれば10級、4分の3以下に制限されれば12級となります。
(制限された原因が骨折や脱臼などの器質的損傷を伴っていなければ認定はされません。)
後遺障害の申請をするには後遺障害診断書という書類が必要となります。
後遺障害診断書は治療を行った医師に書いてもらいます。
先日、後遺障害診断書を書いてもらうために医師面談にいった病院で、
どうしても書いてと言われれば書くけど、この程度では後遺障害は認定されないよ。もっとひどい人で認定されなかった人をたくさん知ってるから。本当に書く必要ある?」
と後遺障害診断書を書く事に否定的な様子でした。
後遺障害の有無は主治医が判断するものではなく、残存する自覚症状とその症状に対する他覚所見から調査事務所が判断するものです。
後遺障害の認定システムと認定基準をお話しし、あるていど納得のいく後遺障害診断書を発行してもらう事ができましたが、もしその依頼者様に私のような後遺障害の認定のお手伝いをする人間がおらず、医師から上記のように言われてしまえば後遺障害の申請すらしないで終わっていたとおもいます。
(ちなみにその方は後遺障害の認定基準からいけば等級の認定はされます。)
世の中には、少なからずそういった被害者がいるだろうと推測できます。
医師の軽はずみな根拠のない一言で救われない被害者がたくさんいるかと思うとなんともやりきれない気持ちになります。
≫ 一覧へ戻る