異時共同不法行為 2013.09.12
交通事故に遭ってしまい、その治療中にまた交通事故に遭ってしまうといったケースがたまにあります。
私も何件か受けたことがあります。
ケガをした部位が同じ場合は「異時共同不法行為」といいます。
異時共同不法行為が認められると自賠責保険の限度額が2倍になります。
傷害の限度額は120万円が240万円に、後遺障害は等級ごとに定められている限度額が倍になります。(14級であれば75万円が150万円)
これは賠償額が倍になるわけではないので要注意です。
2事故目が発生した時点で1事故目が打ち切られ、2事故目の損保会社(加害者)が引き継いで治療費や慰謝料などを支払います。
ここまでは交通事故を生業にしている人なら常識的な知識です。
ある日、追突されて1週間後にまた追突されたという方からご相談がありました。
相談された時点で事故から6か月以上経過しており、症状固定し事前認定で後遺障害の申請をして非該当だった為、異議申立したいという趣旨のご相談でした。
治療中に同一部位のケガでしたので異時共同不法行為が認められる可能性があり、1事故目と2事故目の両方の自賠責保険会社に申請を行いました。
その時にふと思ったのが、
「1事故目の傷害部分の損害が限度額を超えていれば結果的に限度額が倍になったけど、1事故目の枠をだいぶ残したまま2事故目に移行したら扱いはどうなるんだろう。」
ということでした。
インターネットで検索してみると、交通事故に関しておそらく日本一有名であろう元保険調査員の人が運営している某サイトに、「2度目の交通事故受傷した時点で、1度目の傷害部分の請求は完了し、請求することはできない。」とありました。
これまでなんとなく異時共同不法行為が成立すれば傷害の限度額は2倍になると認識していたのでびっくりしました。
しかし、サイト上で特に根拠も記載されていないし、自賠法の解説書を読んでもそんな記述は見つからず、自分なりにいろいろ調べ、とある資料にたどりつきました。
<ここから引用>
自賠責保険では2事故による傷害が同一部位である場合など、それぞれの事故による損害が明確に区別できないような場合には、第2事故発生以後は第1事故の加害車両の自賠責保険については一応打切りの形とし、第2事故の加害車両の自賠責保険が適用されます。
なお、第2事故の加害車両の自賠責保険からの損害賠償額等の支払いが限度額に達した場合で、第1事故の加害車両の自賠責保険に余裕(限度額120万円まで支払い得る金額が残っている)があれば、再度その自賠責保険に対して請求ができます。(交通事故相談実務Q&A/自動車保険ジャーナル)
<引用終わり>
要するに、異時共同不法行為で1事故目の限度額を使い切る前に事故に遭っても結果的には2倍となるということです。
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