交通事故コラム

複数の後遺障害 2015.12.26

一つの事故で複数の後遺障害が認められるケースがあります。
その際には、自賠責保険では下記のとおりの扱いとなります。

(1)後遺障害が2つ以上あるときは、重い方の後遺障害の該当する等級による。しかし、下記に掲げる場合においては等級を次のとおり繰り上げる。
①第13級以上に該当する後遺障害が2つ以上ある時は、重い方の後遺障害の等級を1級繰り上げる。ただし、それぞれの後遺障害に該当する保険金額の合算額が繰り上げ後の後遺障害の保険金額を下回るときはその合算額を保険金額として採用する。
②第8級以上に該当する後遺障害が2つ以上ある時は、重い方の後遺障害の等級を2級繰り上げる。
③第5級以上に該当する後遺障害が2つ以上ある時は、重い方の後遺障害の等級を3級繰り上げる。
(2)併合して等級が繰り上げられた結果、障害の序列を乱すこととなる場合は、障害の序列にしたがって等級を定めることとなる。
例)上肢を手関節以上で失い(5級4号)、かつ、他の上肢をひじ関節以上で失った(4級4号)場合は、併合して等級を繰り上げると第1級となるが、当該障害は「両上肢をひじ関節以上で失ったもの」(1級3号)の程度に達しないので併合2級とする。
(3)併合して等級が繰り上げられた結果、障害等級が第1級を超える場合であっても、等級表上1級以上の障害等級は存在しないので、1級にとどめることになる。
(4)系列を異にする身体障害が2以上存する場合には、併合して等級を認定することとなるが、次の場合にあっては、併合の方法を用いることなく等級を定めることとなる。
①両上肢の欠損障害及び両下肢の欠損障害 
例)1肢ひざ以上の欠損(4級)、反対の膝以上の欠損(4級)であれば両下肢を膝以上で欠損(1級)
②1の障害が観察の方法によっては、障害等級表上の2以上の等級に該当すると考えられる場合はいずれかの上位の等級をもって当該障害の等級とする。
例)大腿骨の変形(12級)と短縮(13級)の場合は12級となる
③1の身体障害に他の身体障害が通常派生する関係にある場合
例)偽関節(8級)と頑固な神経症状(12級)であれば8級となる
(5)繰り上げ後の後遺障害の保険金額を下回るときは合算額を保険金額として採用する。

14級がいくつ認定されても等級の繰り上げはありません。
追突事故などで首と腰を受傷して14級が2つ認定されても一つでも後遺障害の保険金額は増えません。

自賠責保険では一度等級が認定された部位で同一等級は一生認定されません(加重でなければ)ので、14級が2つ以上認定されるかもしれないという場合には、どちらかだけを申請することを検討するケースがあります。

要注意です。

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