交通事故コラム

交通事故とサッカー 2015.12.03

先日、元損保会社の顧問をしていて、現在は被害者側の交通事故を取り扱っている弁護士の先生にお話を聞く機会がありました。

お話の中でとても興味深かったのが、交通事故の損害賠償をサッカーに例えると、加害者側はディフェンスで被害者側がオフェンスという話です。

交通事故に限らず、損害の立証責任は被害者側にあります。
被害者側がこういった損害があるので賠償してほしいと証拠を揃え、加害者側はその証拠を否定するという受け身の構造から、被害者側はオフェンスで加害者側はディフェンスという表現をされていました。

交通事故の損害賠償の肝は後遺障害です。
後遺障害の有無や程度は、自賠責保険の等級認定である程度決定してきます。
自賠責保険の等級認定をゴールと捉えると、審判若しくはゴールキーパーが調査事務所となり、後遺障害の申請が、シュートといえます。

サッカーではゴールを奪うには、サイドから崩すのか、中央突破するのかなどあの手この手の攻める方法を考え、ゴールを奪うためにスペースを作り、いかに確実にゴールを奪えるベストな体勢を整えてシュートを打てるかが大事になります。
後遺障害におきかえれば、等級認定を得るには、しっかりと検査を受けて所見を集め、後遺障害診断書に反映させ、時には医証などを添付して申請します。

加害者側としては、「この事故状況でこんな高度な後遺障害が残るわけが無い」、「これは事故とは因果関係がない」など医師に対してアプローチして症状固定日を6カ月より短くしたり、診断書に反映させないように動きます。
(場合によってはシュートを打たせない(申請を諦めさせる)という手段も見受けられます。)

損保顧問時代は常時100件以上の案件を抱え、多い時には300件の案件を抱えることもあった弁護士の先生は、このオフェンスとディフェンスのノウハウは似て非なるモノだと言っていました。
もちろん同じ競技なので、今までの経験が全て活かせないかといえばそうではないが、シュートをブロックする技術をどれだけ磨いていても、シュートを打つ技術が向上しないのと同じで、要となる部分では求められる技術が違うとのことでした。
求められる労力や時間が比にならないくらい多いので、被害者側で損保顧問時代と同じ件数をこなせる自信はないとも言っていました。

その先生の損保顧問時代の経験談は弁護士が介入するまで紛争性が高まった事案なので一般的な事案とは多少異なるものと思います。
実際には損保会社の担当者はそれほど露骨に妨害をするケースはないでしょう。
というか、一担当者は常時数百件抱えている状態ですので、よほどの事情が無ければ、一つの事案に対して時間や労力を割くことができないのではないでしょうか。

しかし、妨害はそれほどないにしても手助けもしてくれません。
サッカーの例えでいえば、「別に邪魔はしないから好きにシュート打ってよ。素人のシュートじゃどうせゴールは決まらないだろうけど。」という感じだと思います。

私は適正な等級認定を目指す、いわゆるオフェンスとしてしか交通事故に関わったことが無いので、両方の経験を持つ方の考え方を聞いてとても勉強になりました。

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