交通事故コラム

自賠責保険の支払い基準 2015.07.23

自賠責保険では、交通事故で後遺障害を負った人を補償するため、傷害保険金(支払限度額120万円)とは別に、障害の等級に応じて「後遺障害保険金」が支払われます。

後遺障害の等級は1級(支払限度額4000万円)から14級(支払限度額75万円)に分かれており、さらに140種類もの障害が多数の系列に分類されています。
比較的軽いムチ打ち症での後遺障害は14級、重傷の場合は12級の可能性があります。

自分の症状にあった適正な等級に認定されれば正当な賠償がされ、その後にかかるリハビリの費用や、後遺症により生じる仕事の制限からくる収入減も後遺障害の賠償金で賄います。

後遺障害の損害は「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」があります。
後遺障害慰謝料とは後遺障害を負ったことによる精神的苦痛に支払われる賠償金を指し、逸失利益とは将来得られたであろう収入が得られなくなったことに対する賠償金(わかりやすく言えば将来に向けた休業損害のようなもの)のことです。

例えば14級が認定された場合に75万円が自賠責保険から支払われますが、内訳としては後遺障害慰謝料が32万円、逸失利益が43万円と言われています。(厳密に言うと多少意味は異なりますが・・・)
この慰謝料や逸失利益の金額は、自賠責保険の基準から算定するもので、実際の損害は被害者の年齢や収入により高額になることもあります。
実際の損害が限度額を超える場合には相手方に請求することになります。

逆に、死亡や上位後遺障害等級で被害者が高齢である場合等には、自賠責保険の基準上、実際の損害が限度額未満ということもあります。
その場合、自賠責保険に対して任意交渉をしても、法令の支払い基準以上の支払いを受けることはできませんが、訴訟によって支払い基準を超える損害額の支払いを請求することができます。

最高裁判所第一小法廷 平成18年3月30日判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=32815

自賠責保険の支払い基準は裁判所を拘束しません。
相手方に資力が無く、自賠責保険からしから補償を受けられない状態で、自賠責保険の支払い基準で損害額が限度額に満たない状態であれば、自賠責保険を相手取って訴訟で請求した方がいいでしょう。(あくまで、自賠責保険の限度額の範囲内でのお話しなので要注意です)

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