交通事故コラム

慰謝料がもらえない!? 2014.03.15

交通事故によりケガをした場合、治療費とは別に慰謝料がもらえます。
慰謝料とは精神的損害に対する賠償です。

それでは、ケガをしなかったら慰謝料はもらえないのでしょうか?

交通事故でいえば、
我が子のように大事に扱っていた車がキズを付けられてしまった。
板金塗装で元に戻ればいいですが、全損となってしまったら・・・いわゆる物損事故です。

原則、物損事故では慰謝料は認められません。
しかし、民法710条では身体・自由・名誉の他に財産権の侵害があった場合にも認められるとなっています。

物損事故にて慰謝料が認められるにはどのような要件があるのでしょうか。

裁判官は、「物件事故に手慰謝料を請求するには目的物が被害者にとって特別の愛着をいだかせるものである場合や、加害行為が害意を伴うなど相手方に精神的打撃を与えるような仕方でなされた場合など、被害者の愛情利益や精神的平穏を強く害するような特段の事情が存することが必要になる」と述べています。
上記の例のように、車に愛情を持って接していて、その車が戻ってこなくなってしまったという場合でも裁判所は慰謝料を認めませんでした。
自動車は代替性のある物であり、財産上の損害が賠償されれば、精神的苦痛も除去されると考えられると解されているからです。
それが、二度と手に入らないかもしれないクラシックカーであってもです。(神戸地判平成3年5月28日)

代替性が無く、特別の愛着をもつ物とは何か?と考えるとペットが挙げられます。
ペットは法律の世界で物として扱われます。
ペットが交通事故により死んでしまったらどうなるのでしょうか。

私も10年前にペットの犬を交通事故により亡なくした経験があります。
その悲しみはとてつもないものでした。父が亡くなった時より泣いたかもしれません。

ペットの事故による慰謝料の請求は認められています。
死亡だけでなくペットが傷害を負っただけにすぎないケースでも認められています。(名古屋高裁平成20年9月30日判決)
しかし、認められる額は購入金額の半分程度が多いようです。
裁判費用や弁護士費用を考えるとかなり難しいでしょう。
しかも飼い主に過失が問われることが大半です。
ペットが飛び出して轢かれてしまったとしたら、放した飼い主に過失が求められますし、追突された車にペットが同乗していて傷害を負ったとしても、ペット用のシートベルトをしていなかったということで過失が問われた事例もあります。

物に対する慰謝料というのは基本的に難しいと思っておいた方が良いでしょう。

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