交通事故コラム

人身傷害保険の有効活用 2014.01.10

人身傷害保険とは、自動車事故でケガをした場合や死亡した場合に、自分の契約している自動車保険から自分自身の過失分も含めて、契約した保険金額の範囲内で、実際にかかった治療費用や休業補償などを全額補償してもらえるという保険です。

慰謝料に当たる精神的損害や、後遺障害等の損害は各保険会社の約款にて細かく定められた支払い基準で算出されます。

人身傷害保険を支払った保険会社は、被害者が相手方に対して持つ損害賠償請求権を代位取得し、求償します。
(東京海上日動社 自動車保険 約款)

人身傷害保険の最大の特徴は契約者自身の過失をカバーすることです。
難点としては支払い基準が、裁判基準の額よりも大きく下回っていることです。
交渉して増額というのは原則認められません。

この人身傷害保険を最も有効に活用するには訴訟を起こすことです。
起こすのは人身傷害保険の会社では無く相手方です。

(例)

交通事故により負傷し後遺障害が残ってしまったAさん。
しかし、Aさんには20%の過失がありました。

Aさんは人身傷害保険を利用し、保険会社から人身傷害保険の基準で計算された損害8000万円が支払われました。

その後Aさんは加害者を相手取り訴訟を起こしました。
裁判所は総損害額を1億円、Aさんの過失は20%と認定しました。
Aさんの過失は20%ですからもらえる額は、総損害額1億円の80%で8000万円となります。

この場合考えられるのは下記の3つです。

①すでに人身傷害保険から8000万円支払われているのでこれで終わり。人身傷害保険を支払った方の損保会社は8000万円の請求権を代位取得し相手方に求償。

②人身傷害保険から支払われた8000万円の20%である1600万円を差し引いた、6400万円の請求権を人身傷害社が代位取得し相手方に求償。結果Aさんは人身傷害者から8000万円、相手方から1600万円、合計9600万円を支払われる。

③人身傷害社から8000万円、相手方から2000万円、合計1億円がAさんに支払われる。

①がAさんにとって一番不利で、③が一番有利であると言えます。
結論から言いますと最高裁判所はこのようなケースの場合③のように取り扱うという判決を出しました。(平成24年2月20日 最高裁判決)

この方法は訴訟を起こし、裁判所が損害額を決定しないと使えません。

人身傷害保険を上手く活用することで自身の過失分まできっちり補償してもらいましょう。

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