交通事故コラム

紛争処理センターの利用 2013.12.06

保険会社や弁護士との交渉が不調に終わった場合などは、交通事故紛争処理センターを利用する方法があります。

自動車保険の対人事故に示談代行制度が昭和49年に導入され、保険会社の社員が示談代行することについて日弁連との間で調整がなされました。
調整の結果、自動車保険の対人示談代行制度の合法性が確認されましたが、保険会社が示談代行するに当たって被害者の不満が生じた場合に備えて、中立かつ独立の第三者機関である「交通事故裁定委員会」が設立されました。
その後、昭和53年に「財団法人 交通事故紛争処理センター(以下センター)」に改組され現在にいたっています。

センターは、東京をはじめ全国8か所の支部と2か所の相談室が設置されています。
http://www.jcstad.or.jp/

このセンターは、保険会社等との交渉がうまく進まないときに、利用価値があります。

利用する場合は電話で申し込みますが、センターに提出する書類が揃ってからでないと受け付けてくれません。

書類の主なものは、経過診断書や診療報酬明細書、事故証明書等です。
センターによって違いますが、受付の際、あっせん弁護士との相談日が決定します。
電話での申し込みから1週間程度でセンターから申込書等が送付されてきます。
その申込書等と必要書類を弁護士との面談日1週間前までにセンターへ送付しなければいけません。

電話で申し込み決定した日に、センターへ出向くことになります。
時間は約1時間です。

面談はその日1日で終わる場合もありますが、交渉内容によっては、2~3回は出向く必要がでてきます。
希望すれば初回の面談後は、書面や電話でのやり取りで進めることもできます。
しかし、面談ではなく書面や電話で進めると、解決まで時間を要することが多いです。(担当弁護士は紛争処理センターへ月に1度程度しか出てこられないため)

そして、1人の弁護士のあっせんで示談成立の場合はありますが、あっせんが不調に終わった場合は、審査に移行する選択肢があります。

審査は3人の弁護士の対応となり、面談後、3人の弁護士の合議の上で、裁定案が出され、納得すれば示談成立となります。
もし、裁定案に納得しない場合は、訴訟に移行して解決を図るしかありません。

尚、センターのHPにて確認できますが、寄附行為(会社の定款にあたる)を見ますと、
財団法人であること。
そして、運営している役員には直接の利害関係者いませんが、評議員の中には、被害者との対立関係にある損保会社の損保協会長、全共連の常務理事、全労済の自動車事業本部長も含まれています。

又、センターは収入の事業収入のほとんど保険会社等からの寄付金収入になっています。その額は10億5千万円近くあります(平成22年度の決算より)。

以上の事から、費用をかけずに裁判基準に近いところで示談をしようとしたとき、とても有益な機関であることは間違いのですが、本当に中立な立場で解決を図ることができるかは疑問が残ることもあります。

≫ 一覧へ戻る

メール相談お気軽に
メールフォームへ
トップへ戻る