交通事故コラム

行政書士に頼む意味ないよね? 2016.03.31

交通事故の業務をやっているとタイトルのようなことをよく耳にします。

どういう意図かと言うと、
「行政書士は示談代行や訴訟の代理人にはなれないし、弁護士に頼めば何の心配もなく全部やってくれるんだからあえて行政書士に頼む意味ってないんじゃない?」
といったニュアンスで聞かれます。

弁護士の先生から面と向かってこう言われることはないですが、HPやブログなどで行政書士に頼んでも意味は無い、弁護士に頼んだ方がいいですよ!的な記事はよく目にします。

こういった情報を目にした方がタイトルのような質問を向けてきます。
先日は同業者(行政書士)からも同様の発言がありました。

私は、行政書士は全てにおいて弁護士と同じようにできるとは思っていないし、やろうとも思っていません。
行政書士と弁護士が同じクオリティ、費用で仕事を全うするのであればその弁護士に依頼した方が絶対に良いと思います。(行政書士が対応可能な部分においての仕事において)

ではなぜ行政書士としてこの仕事を続けていられるのかと言うと、できる範囲の仕事の精度を高めているからです。
よく例えに使うのが、「弁護士がどんな大きな工事もできる許可を取得している大手建設会社だとすれば、行政書士は特定の部分だけを請け負っている職人」というものです。
たとえば内装工事を専門に手掛ける職人がいたとします。
なんとなく家を建てたいと思っている人が内装工事の職人に全てを依頼しようとしているのをみたらやめた方がいいんじゃない?という思うのはその通りだと思います。
しかし、「この職人の仕事内容が信頼できる、この職人独自の内装のデザインに惹かれるから、私の建てる家の内装に関してはこの職人に頼みたい。」
こういう考え方はそんなにおかしくないと思います。

被害者の方の損害や後遺障害の有無等事実関係を明らかにするための調査、書類作りなどは行政書士の職務範囲と言われています。

特に後遺障害となれば人身損害の大部分を占めてきます。
後遺障害の損害が全体の7割から8割を占めるということも珍しくありません。
その最も重要な後遺障害の等級認定は、明確な基準が公表されておらず、なかなか損害の評価が定まりません。 (自賠責は労災保険の傷害認定基準を準用しておりますが、そちらも抽象的で曖昧な部分が多々あります。)
独自の経験や、表に出ていない情報を駆使して書類作成、調査を行ったり、フットワーク軽く、医師への面談を重ねたり、事細かに被害者からの聞き取りを行うなど、結果を追うためには知識量と仕事量が求められます。だれがやっても同じという仕事ではありません。

「後遺障害等級認定は事案によっては難しく、かつ重要」

この事実に注目し、気付かれている被害者の方から、相談をいただいたりご依頼をいただく事になります。
気付かない方や関係のない方からすると、行政書士に頼む意味はなかなか理解できないかもしれません。

最近では、交通事故に本気で取り組んでいる弁護士の先生は有る程度、後遺障害の分野に関して行政書士の仕事を認めてくれる傾向にあり、後遺障害の事実証明部分に関し、調査依頼、書類作成などを依頼してくれる先生が少なくありません。

上記の建設会社の例えではありませんが、元請けと下請けの関係に近いかもしれません。

弁護士自身が忙しいから外注というものではなく、自分で動くよりも被害者の為になると考えて依頼をいただいているケースが多いかと思います。
なかなか伝わりづらい、行政書士の交通事故業務ですが、なんとなく雰囲気をつかんでもらえたら幸いです。

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