交通事故コラム

一度認めたのに・・・ 2016.02.18

先日、以下のようなお話を聞きました。

信号のある交差点で、青信号直進中、信号無視のタクシーに右方から衝突された。
車両の側面(運転席側のドア)に衝突され、車両の損害(修理額)は非常に大きかった。
相手方タクシーは、「こっちが青だった!そっちが信号無視した!」と主張し、車両の修理代やこちらの損害を請求させてもらうと事故現場で言われる。
実況見分に来た警察に対してもそのように話していた。

当然納得できず、タクシーにドライブレコーダーが付いていることに気付き、
「ドライブレコーダーの映像を確認すればわかるはずだ!」と反論。

その日の夜に、タクシー会社から電話があり、
「ドライブレコーダーを確認したところ、こちらの信号が赤でした。大変申し訳ございませんでした。車の修理代など全てこちらで負担させていただきます。」
と謝罪があり、翌日、ドライバーとその上司が菓子折を持って謝罪に来た。

タクシー会社の人間は「人身事故にしないでほしい。人身事故になれば免許停止となって仕事ができなくなってしまう」と土下座する勢いで懇願された。
被害者は、首などに違和感を感じる程度の痛みが有ったが、不憫に思い、人身事故にはしないと了承した。

その後、車両の修理代などの連絡を取ろうとするも連絡がつかず、1カ月程経ってしびれを切らしタクシー会社に連絡を入れると
「あの後よく確認してみたら、信号は赤ではなく、黄色だった。やはりそっちが悪いので一切支払わない」
とてのひらを返してきた。

頭にきて、「じゃあドライブレコーダーを確認させろ」というと
「一か月も前の映像は残っていない。」
と拒否された。

まだ体に不調があったので、
「それなら人身事故の届を警察にだす」
というと
「どうぞご自由にしてください」
とかえされた。

警察に問い合わせたところ、
「なぜ事故から1カ月も経ってからいうのか。本当にこの事故が原因なのか」
というニュアンスのことをいわれ人身事故への切り替えは難しいといわれた。

被害者は、にっちもさっちもいかなくなり弁護士に依頼するも、うまく事が進んでいない。

一度、自身の過失を認めておきながら、人身事故の届出を警察が受理しないであろう時期を見計らっててのひら返しをしたという、悪質極まりないケースです。
人身事故の届は、出すか出さないかを任意に決めていいものではなく、事故によって体に不調が生じていたのであれば病院に行き、診断書を発行してもらい、警察へ届出しなければいけません。(道路交通法72条後段)
そして、事故の状況を証明する為の証拠はしっかりと確保しておかなければなりません。

この事故であれば、ドライブレコーダーの映像のコピーをもらうか、相手方が赤信号であったこと認めたという書面などを取りつけておけば、タクシー会社もこのような暴挙にはでなかったのではないでしょうか。

被害者の人の良さに付け込んでこのような事をする加害者に腹立ちを覚えますが、被害者も全て人任せにしていたら今回のように取り返しのつかないことになります。

気をつけましょう。

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