交通事故コラム

同じ14級でも… 2013.10.03

交通事故の後遺障害は1級から14級まで等級が分類されています。
1級が一番重く、14級が一番軽いという分類です。
等級の認定を受けると保険会社から損害額を計算した提示書がきます。

傷害の慰謝料は、任意保険基準といわれている支払い基準を各損保会社が設けており(全社ほぼ同一と思われる)、それに基いた計算がなされ提示がされます。
摘要欄には「当社支払い基準による」や「任意保険基準」という記載のみの提示がほとんどです。

後遺障害の損害は、慰謝料と逸失利益で構成されます。
後遺障害の慰謝料も傷害と同様に「当社支払い基準による」や「任意基準」と記載され、14級であれば32万円から40万円の提示がされることが多いようです。

逸失利益は、計算根拠として年収×喪失率×喪失期間の説明と共に数字を当てはめた計算式を載せてあります。
ムチウチによる後遺障害で14級9号であれば、喪失期間は2年~5年で勘案されることが一般的です。
数年前は当たり前のように保険会社は喪失期間を2年で提示してきましたが、最近は3年での提示が多いようです。

たまに、根拠の記載が無く、慰謝料と逸失利益を分ける事もなく「後遺障害の損害75万円」と提示されたり、説明もなく慰謝料が少し上記の額より多く提示されたりすることがあります。
こういう場合は要注意です。

以前、当事務所で後遺障害の申請をお手伝いさせていただいた被害者のお話です。
赤信号停車中に追突され、受傷。首と腰の痛みやしびれ、頭痛と耳鳴りを訴えていました。よくあるムチウチのケースです。
6か月が経ち、多少症状が改善されたものの完全には治癒せず、症状固定となり、後遺障害の申請をしました。
結果は14級が認定されました。
保険会社はその結果を受け、損害賠償額を提示してきました。その提示書の後遺障害の損害計算は逸失利益が2年で計算されていました。
しかし、慰謝料は上記の相場?をかなり超えており、トータルで見ると自賠責保険の限度額よりも少し高い額での提示でした。

むち打ちで14級ならどれくらいもらえるのかとインターネットで検索すれば簡単に出てくると思います。
このケースなら「むち打ちで14級の場合喪失期間は5年認めてもらえればだいぶよさそうだ。喪失期間を5年にしてもらえるように交渉して、3年か4年に落ち着いたとしても、慰謝料を多めにもらってるからそれで示談でいいか」と判断してもおかしくないでしょう。

実は、この被害者の方の後遺障害は同じ14級でも頚椎捻挫での神経症状で14級9号と耳鳴りによる障害の14級3号の二つが認定されていました。(14級がいくつ認定されても等級は上がりませんので等級は14級です。)
喪失期間が2年から5年というのは他覚的所見のないムチウチ症(14級9号)での相場です。
他覚的所見の認められている耳鳴りに関する後遺障害の認定を受けたこの方は、症状固定時の年齢から労働能力喪失期間の終期とされる67歳までの期間を喪失期間として請求し、最終的には最初に提示を受けた額から数百万円増額した賠償金を受け取ることとなりました。

もし何も知らずに5年で請求して、その額で示談してしまっていたら…

情報は正確に収集しましょう。

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